√セッテン

疲労していた。

何の糸口も掴めないまま、カウントは森先輩の死を孕みつつ、ついに10日を切っていた。

待ち受けは次々と不可解な写真を表示する。

女と、暗闇、そして廃墟……何も手がかりにはならない。

不安だけがわだかまりになって広がる。

そんな中で、立幸館の学生が、不可解な死を遂げたという不吉な噂が漂ってきた。

誰かから飛んだ、死の待ち受けがカウントを終えたのだろう。


完全に手の届かない範囲に広がっている。

「煙草でも吸うかー?」

河田が屋上でそう声をかけてきた。

「ふざけんな、未成年が吸っていいことなんて『格好がつく』って自己満足が満たされるだけだ」

「いいじゃん、学生なんてそれだけが生き甲斐だし」

河田が言って紫煙を吐き出した。

「テスト期間前の自習時間って、なんかやる気しねぇよなぁ」

お前はいつもだろ

「結局、どうよ、死の待ち受け、どうにか回避できる方法見つかったか?」

河田の言葉に首を横に振る。

あらかた流れを説明をすると、河田は小さく首をかしげた。

「その、表示されてる女って、若いの?俺の出番じゃん?まぁ、有名人&グラビアアイドル&地域限定ですけど」

河田は言って笑った。

「頭に血登ってるなぁ、黒沢。ま、無理もないけど」

河田は山岡と敦子が死の待ち受けが表示されたことを昨日知った。

河田は誰に噂を流すこともなく、昨日から時間を見つけては授業を抜けだし、こうやって屋上に来るように薦めてきた。

気分転換をしろとでも、言いたいのだろう。

河田なりの気遣いは嬉しかった。

「潤、ここにいたんだね」

山岡の声がして、振り返る。

屋上入り口を開けて山岡が入ってきた。