そこには

何も生み出さない、何も持ち得ない

数学最強の数字がそこに真っ赤になって点滅していた。


「0」


その点滅は、森先輩だったものに埋まって、ヒクヒクと痙攣している眼球の黒い円に似て

ぽちゃぽちゃと、血袋から垂れてる液体の色で


「先輩」

俺はただ、目の前にぶら下がるその固まりが、森先輩だと認めることしかできなかった。



森真由美
























最後の発信 飯島敦子

最後の着信 堀口俊彦