√セッテン

「つまり、オカルトフラッシュ待ち受け?」

「ま、まぁ、潤風に言うとそんな感じ……」

敦子はちょっとゲンナリしてケータイを閉じる。

山岸絵里子を批判したくせに、結構信じているようだった。

あほらしい……

悪いが俺は、そういうモンは信じない。

真面目に信じてたら怖いだけだろ、そんなの。

「有名なワケ?それ」

「有名だってば、だからキョウコが教えてくれたの!」

敦子は今日の昼前から話してたよ!と噛みついてきた。

「俺は山岸に呼び出されて、噂に興味ないって言ったらその話されたんだよ」

「あー、潤ってさぁ、ほんっと色々上の空じゃん。意識ある?って思うときあるよ」

「余計なお世話だよ」

歩道と車道の間をふらふらしている敦子の腕を引き歩道に引き込む。

死の待ち受けだかなんだか知らないが、危なっかしいのは、今、まさにそのお前だ。

「死のカウントダウンとかなんとかより、お前は今日、江古田に出された古典の補習課題を、早くどーにかすべきだな」

敦子が苦虫を潰すような顔をしてゲンナリとした。

敦子と別れると、河田と約束していたダーツバーへ向かう。

バーとはいいつつ、俺は酒が飲めないし未成年だからひたすらダーツしてるだけ。

普段の授業態度は俺と同様自慢できたものじゃないが、河田はこういうゲームは得意だった。

「で、敦っちゃんの話、からきし聞いてなかった訳か」

「まぁな、敦子ミーハーなとこあるし、全部聞いてたらキリない」

辺りは煙草臭く、吸う気がなくても肺に入って汚れた気がする。