√セッテン

「山岸さんそんなこと言ったんだ」

敦子が帰りに大げさに反応した。

部活からの帰り道、ソフトボール部の敦子を拾って帰るのが日課だった。

「死の待ち受け、まじめに信じちゃってるんだねー」

「それ何」

「死の待ち受け? 潤聞いてなかったの? あんなに昼から話してたじゃん。はやくダウンロードした方がいいし」

話が見えてこない。

ダウンロード、だ?

何を?何で?

敦子はケータイを出して、メニューから画面メモを引き出した。

「これだよ」

「なんだこれ、待ち受け?」

「そ。死の待ち受け避けの、呪符だよ」

「オカルトの話か、やっぱり」

「またまたぁ、これ本気でヤバイんだからね、潤もダウンロードしとかないと、いつくるか分からないよ」

「何が来るんだよ」

軽く聞き返すと、敦子はにやりと笑って溜めた。

「死を警告するカウントダウンが待ち受け画面に表示されるの」

「……」

敦子が言うにはその『死の待ち受け』というのは突然現れるらしい。

急に画面が切り替わり、待ち受け画像の変更ができなくなる。

そこには数字が記されていて、カウントダウンがはじまり0になると、死ぬという。