俺も一瞬ドキっとした。

この電話をかけてきた奴に死の待ち受けが表示されていて、こいつの最後の発信だとしたら?

♪.♪.♪♪~♪...


そしたら、俺にも……

死の待ち受けが……


「出ない、の……?」

「あ?あぁ、悪い、あとで続きな」

俺は言って息を飲んで電話を取った。

『おはっ 電話取るのおっせぇし、敦っちゃんとのディープな夜はどうだった?』

河田か……

「おはよう河田、お前は朝からテンションが高くていいよな」

『低血圧な黒沢と一緒にされたくないし』

こいつは死の待ち受けは表示されていない。

胸をなで下ろした。

『ニュース速報』

「ん?」

『やっべぇな、死の待ち受けってマジだよ。さっき西大路駅で飛び込み、渋谷景だよ』

「本当かそれ」

『マジマジ、だって俺今ホームだし。やっべぇよホームで大騒ぎ。電車止まってるし今日遅刻者増えるぜぇ』

S線の人身事故って、まさか……

敦子が顔を出して、何か口パクしている。

山岡が敦子の元へ向かっていった。

『ホーム、プチパニックだしーなんつーの?見たくないけどちょっと見たい、みたいな……』

なにか河田が言っていたが、半分以上耳に入らない。

通話の向こうで、雑踏と駅の放送が耳の中に流れ込んでくる。