「怖い……」

絞りでたか細い言葉にかわり、目頭から涙がポロポロと床に落ちる。

「先輩、大丈夫だよ」

敦子が森先輩を抱きしめると、そのはずみでケータイが落ちた。


拾い上げて、画面を睨みつける。

最期の1日

一体死の待ち受けには

何が表示されるんだろう……

俺はずっと考えていた。

拾い上げたケータイの画面を覗く。

適当にボタンを押して、画面を明るくした。

そこには、歪んだ文字が




死ぬの
だけどお前も
同じ思いをして
死ね



そう書かれて、画面いっぱいに映っていた。

これが……渋谷景にも、表示されている。


字は紙ではなく、床か壁にでも書かれているようだった。

俺は山岡のケータイを見た。


「……山岡のケータイは? 画像変わったか?」


無言でケータイを手渡される。

画像は変わっていた。

そしてもちろんカウントも、ひとつ減っていた。

青みがかった暗い部屋の中に、線が何本も飛び出ている。

何かのスイッチのようなものが、ずらりと一列並んでる。

音響機械……?