「待ち受け、見せて下さい」

「信じてるの?君、死の待ち受けなんて、だって、こんなの、ウソだよ、ウソ…」

堀口俊彦は俺と渋谷景の間に割って入った。

「景、もう今日は帰ろう、無理したってしょうがない」

割って入った堀口俊彦をさらに割るようにして歩を進める。

「ここで死んだ二条西の甘川の彼女も、死の待ち受けが出てる。その人ももう危ない」

「甘川君の、彼女……?」

渋谷景ははっとして顔を上げた。

「……まさかこれ……広がって……るの?」

「そうです。俺が知ってるだけでも、4人に被害が広がってる。内2人はもう死んでます。あなたの友達の山岸絵里子と、山岸の友達の長谷川沙織」

「……い、嫌ぁあ!」

「景!おいお前、もう止めろ。景は俺がどうにかする。俺たちに関わるな」

「俊彦、ねぇ、イケにもっと問い詰めておけばよかったよ、死にたくない、死にたくない! もう限界だよ」

渋谷景はついに泣き出してしまった。

堀口俊彦は俺をきつく睨むと、渋谷景を守るように抱きしめる。

「景は俺が守る、死なせやしない、大丈夫だから」

「……じゃあせめて、最期にこれだけは教えてくれませんか」

俺は言って入り口でぽかんと立ちつくしている河田の方へ歩き出す。

「残りはあと、何日?」

「……」

堀口俊彦は渋谷景を抱きしめた逆の手で、人差し指を突き出してきた。


渋谷景に残されたカウントは1。




あと、1日。