「あ、あんたも犯人捜し?」

河田、どもってるぞ。

「そうだよ。お前ら犯人じゃないって言うなら、名前くらいは教えてもらおうか?」

「俺は二条西の河田康平、いっとくけど、結構強いぜ」

ダーツの腕がな。

心の中でツっこむ。

「お前は?」

「河田が名乗ったんだから、あんたも名乗れよ」

俺は先に相手の名前を求めた。

「……立幸館3年の堀口俊彦、後ろのは渋谷景」

年上じゃん!と河田がリアクションしてくる。

「俺……二条西の黒沢潤。死の待ち受けについて調べてるんだけど」

後ろにいた渋谷景が俺の言葉に反応した。

「……ここで死んだ人たちのこと、調べてるの?」

明かりの下にやってきた渋谷景は、今時の女子高生という形容詞がぴったりだった。

巻き髪、三つ開いたピアスに、あの釣り合いの取れないデカイ目は縁有りコンタクトに違いない。

「まぁ、色々あって」

俺はそれだけ言って内装を懐中電灯で照らし調べだした。

河田は堀口俊彦と何か話をしている。

うまく間を取り持ってくれているのか、脅されているのかはよく分からないけど。

懐中電灯で照らす床は、割れたガラスでいっぱいだった。

ドアや鍵は生きているみたいだが、壁紙は剥がれているし、住めたもんじゃない。

「君、なんで死の待ち受けのこと、調べてるの?」

渋谷景は俺の後ろに立って声をかけてきた。

「渋谷さんは?」

俺は自分の答えを返さずに、渋谷景に振った。

相手の真意がつかめないままで、こっちの駒をそう簡単に明かしてたまるか。

「……ここで死んだ3人の敵討ち……よ」

「犯人ってもう分かってましたっけ?」

「分かってない。だからここで張ってる」

渋谷景の声は少し震えていた。

ここが寒いからだろうか。