「うっわ、なんか、さっみぃー」

河田は高揚を隠せない様子だった。どう見ても危ないってのに、好奇心旺盛な奴だな。

店内を懐中電灯で照らした。

ムーントピック店内も、荒れまくっていた。

ここで、3人の遺体が発見されたのだ。



「おい、……お前ら、ここに何の用だよ」



部屋の奥から声がして、俺と河田はビクっと痙攣した。

懐中電灯を、声のした方に向ける。

そこには男女2人組の影があった。

「あ、いや、ちょっとーミステリーツアーを……」

無言の俺に、饒舌な河田。

焦ると被っているキャップをいじり出すクセは、中学のころから変わらないみたいだな。

「は?ミステリーツアー?お子様が遊びに来るトコじゃねぇんだよ!」

声は激しく罵倒してきたが

俺は意外に冷静だった。

懐中電灯で男全体を投影する。

「なんだ、あんたも学生じゃん」

俺が言うと、男は太い眉を跳ね上げて俺を睨んだ。

「その制服、二条西だな」

「そう言うあんたは、立幸館だよね」

立幸館高校の制服はデザイナーズだとかで、このあたりじゃ一番人気の制服だった。

「ここで何があったか、知らないでこんなとこにいる訳?」

俺の問いに、男は足を止めた。

「知ってるよ。だからここにいるんだよ」

男はコチラへ近づいてきた。

「よく言うだろ、殺人犯は現場に戻るってな」

「……悪いけど、俺たちは違うよ。探してるものは似てるとは思うけど」

近づいてきた男は長身だった。

俺もそれなりにはあるが、この男はでかい。

180cmはゆうに超えてるだろう。

確実に運動部系の、番長キャラだ。