「えぇ?マジか」

山岡のことは言わず、俺は西口へと足を進める。

「じゃあ、あのサイトもウソってことか……」

「敦子が待ち受けダウンロードした情報サイトのこと? 怪しいよな。そこも……あとでアドレス送って」

「いーけど、黒沢なーんで急にムーントピックに興味持ち出したんだか?」

「お前、前からワルいことしてみたいとか言ってただろ」

河田には、山岸や森先輩のこと、詳細はまだ話していなかった。

ただ死の待ち受けは本当で、かなりヤバイらしい。その謎を解きたいから手伝え、と言っただけだ。

シャッターの閉まった商店街を抜けて、路地へ入る。

「あそこの地下だぞ」

河田が指さした先の古くさいビル。

入り口には地べたに座っている怪しいカップルが1組。

向かいの電柱に背中を預け、煙草だかハッパだか分からないが煙ってる奴が1人いた。

「ってか、黒沢、制服のままってヤバくないか」

「いいから、行くぞ」

俺は河田を引き連れて、ムーントピックの入り口になる階段を下りていった。

階段には割れた酒ビン。

どう考えてもヤバそうな注射器が2つ転がっていた。

それらを蹴り飛ばしながら下まで降りると、入り口のドアは壊されていた。


頭上には、壊れたネオンで

「MOON TOPIC(ムーントピック)」

と書かれた看板がぶら下がっている。


一歩足を踏み入れると、ガラスを踏んだ。

パリンとヒビの入る音がする。