喫茶店から出て、敦子、森先輩、山岡と別れた。

3人は敦子の家に泊まるらしい。

山岸絵里子のケータイについて、調べてくれると言うことだ。

山岸絵里子、長谷川沙織、山岡、森先輩。

4人も死の待ち受けが表示されているケータイが手元にあるなら、有効な数値が得られるだろう。

そこから解決の公式が導き出せれば……


俺はケータイを片手に、駅前のコンビニに入った。

電話を掛けている相手はもちろん、今日ムーントピックツアーの同伴だ。

陽気な待ちウタが流れる。

まさかもう寝たとか言うなよ……

「っと、河田、遅くに悪い」

俺が電話をしたのは、河田だった。

俺は簡単に事情を話しながら

ライターと懐中電灯、それとカロリーメイトを買ってコンビニを出た。

「男と夜のデート、色気ないなーぁー」

河田はそんなことを言いながらも、5分で駅前に行く、と電話を切った。

修学旅行の時も、率先して女子の部屋に遊びに行こうとした奴だ。

好奇心の半端なさといったら、こいつを越える奴はいないだろう。


JR、S線二条駅の西口にムーントピックはある。


さんざん話題に出たが、道を外れた裏路地にあるムーントピックは、普通の学生がうろちょろする場所じゃない。

多少の心構えを持っていかないと、ヤバい目に遭う可能性は大だ。

「潤くーん、お・ま・た・せ!」

河田が機嫌良く改札から顔を出した。

気持ち悪い挨拶だな、と顔をしかめる。

俺のツッコミを期待していたらしい。

「でさ、黒沢、呪い避けの待ち受け、ちゃんと落とした?」

「……それ、効果ないみたいだから」