「まだわからない。けど、森先輩のは甘川先輩から移ったと見て間違いないですよね」

「そうね、可能性としては……1番考えられるわよね、呪い避け、してたんだけど」

森先輩は言ってケータイをぎゅ、と握った。

「森先輩、立幸館高校の、吉沢と池谷って人知ってますか?」

俺は甘川充つながりの2人の名をあげた。

「知ってるよ……充と一緒に……死んだ3人だよね」

俺は無言で頷く。

「吉沢アヤト、池谷美保……充の中学時代からの友達」

「池谷の親友って人は知ってますか?」

「……親友? 蔵持さんのことかな……? ごめんなさい他校の2人のことは、充から名前だけ聞いただけで会ったりすることはなかったの。部活忙しいし、それに他校でしょ? 噂でしかなかったけど、池谷さんは、充と付き合ってた時もあるって聞いたから、余計に会いにくかったし」

「俺たちが今、把握している限りでは、吉沢、池谷、甘川先輩の3人が死の待ち受けの最上流にいる人たちなんです」

「そうそう、3人同じ場所で死んだっていうのもおかしくない?」

敦子は言って、はっと口を塞いだ。

「いいよ、敦子。気にしないで……私もそれはすごく、気になってる」

森先輩は言ってコーヒーをまた口にする。

「ムーントピックは密室だったみたいだけど3人同時に死んだわけじゃないみたいだから……誰かが1人を殺して、責任のなすりあいをしてもう1人を殺して、最後に自分も……って、それが警察では一番有力な見解みたい」

「森先輩はムーントピックって行ったことあります?」

敦子が聞くと、まさか、と森先輩は首を横に振った。

「あんな危ないトコ、行ったこともないよ」

「ですよね、甘川先輩もそう言うトコ……行く人じゃなかったって、言ってましたしね」

「……俺、ソコ行ってみるよ」

黙っていた俺が急に発言すると、3人は驚いてこちらを見た。

「はぁ!? 危ないって、言ったばっかりじゃん」

敦子は猛反対したが、俺は押し切った。

「時間がないし、モチロン1人じゃ行かない」

「誰連れて行く訳?」

「いるだろ?こういうことに興味深々の奴が」

俺がそう言うと、丁度喫茶店シャノアールの閉店準備の曲が流れ出した。