画面の半分に顔

半分に暗い室内

半分しか写っていないのに、顔はマジで怖かった。

ガラスの瞳に、血走った目

ぐしゃぐしゃの髪に、頬は泥だか血だか分からないが汚れている。

瞳はカメラの光の反射のせいか、ガラスのように透き通って見えた。

「こいつに何の意味があるんだろう」

待ち受けに映る女を記憶の中にポストイットする。

「あとね、変わるのは数字だけじゃないの」

森先輩はいきり立つ俺を止めるように続けた。

「数字がカウントしていくのと同じように……日ごとに画像も変わるの……」

「あ、じゃあ、森先輩はこの画像……みたことありますか?」

山岡は言って自分のケータイを見せた。

「うん、見覚えある」

「今まで……どんなのが出てたんですか!?」

「怖かったから……丸1日ケータイ見なかった時もあるんだけど、15、って表示されたときは、山岡さんと同じ画像だった」

「そもそも、死の待ち受けが表示されたのはカウントがいつからの時なんですか」

俺が割り込んで確認すると、森先輩は15だったはず、と言った。

「15……」

15という数字にも、何か意味があるんだろうか。

「怖くて見てない時の方が多いんだけど、他の画像は……」

先輩は淡々と待ち受けの画像の特徴を語り出した。

どの待ち受けにも共通しているのは、「暗がり」「廃墟」

そして「お菓子の残骸」「照明器具」「女」「床」

話し終わった後の森先輩は、ひどく疲れた顔をして黙り込んだ。

「充がムーントピックで死んだのは、半月くらい前で、充が死んでから待ち受けが切り替わったわ」

「約15日周期でこの待ち受けが伝染してるってこと、でいいのか?」

「でも山岸さんは、4日前に死んだんだよね? 長谷川さんは今日……」

敦子が言って山岡を見る。

「長谷川さんのは誰から伝染してきたって言うの? 私たちの知らない他の誰か?」