忘れられるワケがない。


目を閉じて暗い闇の中に身をゆだねる。

いつもの、暗闇。


花火が上がると、ぱっと世界が白くなる。


そのたびに、蔵持七海を思い出す。あの純白の笑み、ガラス色の瞳。

俺の中の白という白を全て書き換えていった。


また、花火が上がる。

俺はしっかりと目を開けて、暗闇を蹴散らす白い大輪を見つめた。

「ちゃんと、約束通りお前たちと見れたな」

2人は花火に夢中で俺の言葉は届いていなかったが

俺は十分満足した。


....♪♪.♪♪.♪


花火が終わり、敦子と山岡を送って一息ついた時、ケータイに着信があった。

堀口俊彦からだった。


「こんばんは、模擬お疲れ様です」

『あぁ、まだ花火大会の余韻に浸ってるか? 飯島とか、騒ぎそうだよな。それでさ、お前これからちょっと空いてるか?』

「えぇ」

『じゃあ、白砂の交差点コンビニ、あるだろあそこで待ってる』

「はい」

簡潔な会話が終わる。

雑誌を一冊読み終わるころ、堀口俊彦がやってきた。

堀口俊彦は休日なのに制服だった。

まぁ、模擬面接をしていたのなら、当たり前か。

「これ、お前に」

暗闇で差し出されたものは、USBメモリー

俺はキーホルダーのようなそれをつまみ上げて首をかしげた。

「何のデータですか?」