「河田君が気づいた時はもう遅かった。想像はつくよね」
「山岡を、殺したのか……」
「殺してないよ。いるでしょ、ここに」
「お前は山岡じゃないだろ!」
「存在は千恵、なにひとつ変わらないよ」
いつも通りの山岡の笑い方が、混乱を呼ぶ。
でも違う。違和感はぬぐえない。
「心を閉ざしたら密室になる。千恵はとても弱かったから、恐怖には勝てなかった。迫る死の恐怖と、ケータイで点滅する0の恐怖……」
『……潤なら、助けてくれるって信じてる』
山岡の言葉が、頭の中で繰り返し思い出される。
『信じられる人だから、私、潤のこと好きになったんだもん』
「ふざけるな、それで山岡の心に、お前が発生したとでもいうのか」
「そう、唄えば誰でも簡単に人の心に触れられる。
それにあそこから解放してくれたのは潤じゃない、答えに辿り着いたのよ、オメデトウ」
いともあっさりと山岡は返答した。
「歌は、自由で、好き……また、歌える」
アムリタを開いたことで、あのホールに押し込められていた恐怖や悔恨
残り全てが解き放たれたのだろうか。
山岡、いや
√の女。
俺が追っていた、本当の答え。
「私は蔵持七海の半身。暗い心の結晶。いつも表に出ていた感情が死ぬ前、全てに絶望した"わたし"の代わりに入れ替わった、もう1つの蔵持七海」
人間は、複数を仮面を持って生きる。
1つは共存のための、協調性の仮面
1つは自分を守るための、自己防衛のための仮面
蔵持七海の仮面の1つが、この√の女なのか
「"わたし"は、悲しかった、怖かった。
ずっと外見だけで差別されて、友達も愛する人も失った。
ただ普通に信じ合える友達が欲しくて、普通に人を好きになって、みんなと同じように生きたかっただけなのに、それを、"わたし"が一生懸命耐えて、作ってきたものを、美保は壊した!」
√の女は、続けた。
「"わたし"の本当の声を聞いて欲しかった。ただ、ただ純粋に人を好きになりたかっただけ」
「山岡を、殺したのか……」
「殺してないよ。いるでしょ、ここに」
「お前は山岡じゃないだろ!」
「存在は千恵、なにひとつ変わらないよ」
いつも通りの山岡の笑い方が、混乱を呼ぶ。
でも違う。違和感はぬぐえない。
「心を閉ざしたら密室になる。千恵はとても弱かったから、恐怖には勝てなかった。迫る死の恐怖と、ケータイで点滅する0の恐怖……」
『……潤なら、助けてくれるって信じてる』
山岡の言葉が、頭の中で繰り返し思い出される。
『信じられる人だから、私、潤のこと好きになったんだもん』
「ふざけるな、それで山岡の心に、お前が発生したとでもいうのか」
「そう、唄えば誰でも簡単に人の心に触れられる。
それにあそこから解放してくれたのは潤じゃない、答えに辿り着いたのよ、オメデトウ」
いともあっさりと山岡は返答した。
「歌は、自由で、好き……また、歌える」
アムリタを開いたことで、あのホールに押し込められていた恐怖や悔恨
残り全てが解き放たれたのだろうか。
山岡、いや
√の女。
俺が追っていた、本当の答え。
「私は蔵持七海の半身。暗い心の結晶。いつも表に出ていた感情が死ぬ前、全てに絶望した"わたし"の代わりに入れ替わった、もう1つの蔵持七海」
人間は、複数を仮面を持って生きる。
1つは共存のための、協調性の仮面
1つは自分を守るための、自己防衛のための仮面
蔵持七海の仮面の1つが、この√の女なのか
「"わたし"は、悲しかった、怖かった。
ずっと外見だけで差別されて、友達も愛する人も失った。
ただ普通に信じ合える友達が欲しくて、普通に人を好きになって、みんなと同じように生きたかっただけなのに、それを、"わたし"が一生懸命耐えて、作ってきたものを、美保は壊した!」
√の女は、続けた。
「"わたし"の本当の声を聞いて欲しかった。ただ、ただ純粋に人を好きになりたかっただけ」