赤白赤 赤赤赤 白赤 赤

白赤白 赤 白赤白 赤


清潔な病室の白い壁に、赤い線が四方に散っていた。

赤い蜘蛛の巣のような中心から斜め横、ベッドに河田が倒れていた。

シーツも赤く染まり、まるで芸術作品のようだ。


「河田!!」


ベッドの横から河田に走り寄って肩に触れる。

「おい!河田!!」

声をかけるが、河田はピクリとも反応しない。

だが、向い側に人の気配を感じ、ビク、と顔を上げた。


ベッドに横たわる河田を挟んだ向いに、山岡が立っていた。

「潤、行かないでって……言ったのに」

「山岡……?」

山岡の手には、河田のケータイがあった。

着信ランプが一定リズムで点滅する。

車から俺が、河田に発信したものだろうか。


「河田は、どうしてこんなことに」

「光を差込もうとするから……」

「え?」

「閉ざされた心の中に、光を差込もうとするから、こうしたの。潤にね、河田君、電話したんだけど出なくて……あは、半泣きだった」

山岡は言って、手にしたケータイをぽい、と河田の上に落とした。

目の前にいるのは、山岡?

なんだ、この違和感……


「どうしたの?そんな顔して……」