だけど、まだ、肝心の答えは出てない。


まだ、分からないことが多い。

15という数字の意味

死の待ち受けを、蔵持七海がどうやってアムリタから外へ運び出したのか

なぜ、蔵持七海があんな場所にいて、自殺したのか


……いや、自殺に追い込まれたのか、という方が正しいのか

「千恵、電話出ないよぉ」

「病室にいるんだ、通話できるわけないだろうが」

堀口俊彦は敦子にそう言って、助手席のドアを開けた。

「あ、そうだよね……病室から出れる状況でもないしね」

霧島悠太も無言で運転席につく。

こんな状態の人に、運転を任せていいんだろうか

「まぁ、これから病院に行くんだし、直接会って話をする方がいい」

霧島悠太が、後部座席の敦子に振り返った。

表情はいつもの霧島悠太だったが、どことなく違和感がある微笑みだった。

笑えとは言わないが、こうやって普通にされても切ない。

「堀口記念病院に、向かっていいかな」

「はい!」

敦子が元気よく返事をする。

堀口俊彦はナビをはじめた。



後部座席に投げ捨てていたカバンを引き寄せて、汚れたハンカチを投げ入れた。