後ろから、足音が俺を追ってくる。

1人2人が移動するのが精一杯の階段を、団子のようになりながら降りていく。


暗闇の中、勢いで降り突き当たりへ体当たりしてぶつかると、後ろから飛び込んできた霧島悠太に肘鉄を食らう。


「七海……!!」


霧島悠太の声が頭上からした。

俺はその声の行く先に合わせて、視線を流した。

広がるライブホール

光はなく、漠然と広がる暗闇に、見えるものはなにもないと思った。


中からの返答はない。


堀口俊彦が懐中電灯でホール内を右から左へ照らした。


その明かりを分断するように

ホールの中央に黒い柱があった。

床は、フローリングで、奥へと伸びている。

まるで体育館のようなその床は

死の待ち受け、カウント15で見たあの床と同じだった。


床にはゴミが散っていた。

週刊誌、空き缶、コンビニの袋……

その中に、外でも拾ったアルバイト情報誌のOLIVEが転がっていた。

カウント11で表示され、ここへ導いた貴重な待ち受け。


ずきん、と異臭に誘われてか頭で痛みを伴う鼓動がした。

一歩、暗闇のホールへ足を踏み入れる。

右手の奥に、音響と照明のコントロール室があった。

機材からは、コードが伸びて床に落ちている。

暗闇の中で、ほのかに地の色なのか青く輝いて、黒光りに艶を与えていた。

死の待ち受け、カウント14に写っていた機材と同じだ。


明かり取りの小さな天窓から、少しだけ明かりが差込む。

俺は差込んだ光に誘われて、周囲を見た。