視線がエントランスの天井を捉える。

そこには、見覚えのある、鳥かごのような黒い照明

死の待ち受け、カウント3の待ち受けに映っていたあの照明だった。


ゴクリ、と喉がなる。


蔵持七海はここにいる。


「寝てろって言ったのに」

霧島悠太は、額から汗を落としながら、笑った。

「3人で開けましょう」

ノブに手を添えると、霧島悠太は、にっこりと笑って頷いた。

「かまわないけど、倒れても次は支えてあげれないよ」

重い防音ドアはたしかにびくともしない。

垂直になったドアノブに3人で力を込める。


気のせいではないと思いたい。

少しだけ、ノブが傾いた気がした。


「今、動いたよな? 」


堀口俊彦の言葉に頷く。

「せーのっ!」

声をかけて、もう一度力を込める。

後ろで俺たちを見守っていた敦子も、急に割り込んできてノブに手を添えた。

「1人でも多い方がいいでしょっ」

今度は4人で力を込める。

敦子に至っては力を込めるというより全体重をかけていた。

重なっていた俺の手が敦子の体重でぎゅっと潰れた。

明らかに、重く金属の擦れる音がしてノブが45度に動いた。

あとは、人1人の力で簡単に開くに違いない。

全員の動きが止まる。


だが緊張などする時間はない。


俺は誰の手も乗っていないノブに手をかけて、思い切りひねった。