√セッテン

視線をソファーから横へ投げる。

また頭痛がした。

ソファーの右奥には、ドアがあった。

ドアは黒い、ただ俺の肩あたりの高さに、格子を3本並べたような、ガラスの飾り窓がついていた。

「…………」

敦子の手が震えているのが分かる。

怖いのだろうか

「敦子……」

振り返ると、敦子は額に脂汗をかいて、ぎゅっと瞳を閉じていた。

暗闇の中で、胸元のネックレスが光る。

「入り口は鍵がないと開かないみたいだ」

霧島悠太が言って俺の元へやってくる。

「……飯島さん? 大丈夫……? 」

敦子は返事もせず、息をするのも辛そうにして俯いていた。

「一度出ようか? 」

俺の言葉に、敦子は返事をしなかった。

「敦子? 」

「…………」

敦子は立っているのも辛いのか、ずるずる、と屈んでしまった。

堀口俊彦もかけよってきて、敦子を介抱する。

「霧島さん、このソファ」

敦子を支えながら、俺は霧島悠太の視線をソファへ誘導する。

「カウント13で表示されてた、あのソファに似てませんか」

「……!」

霧島悠太の瞳が丸くなる。