Amrita
-……アムリタ
ムーントピックに似た廃墟ライブハウスの名は、解読不可能なくらいに赤いスプレーで汚されていた。
北宮のビル街のはずれ、高層ビル郡は影を潜める。
商店街へと接続するゲームセンターの奥にそのライブハウスはあった。
ゲームセンターはもうシャッターを下ろし、シャッターは前衛的なスプレーアートで彩色豊かに飾り付けられていた。
敦子はきょろきょろと周囲を見回しながら、堀口俊彦に声をかけた。
「思い切り不良のたまり場っぽいけど」
「前はこの2つ向い、パチンコ店だったから余計そんな空気醸し出てたぞ」
今は7、と大きく数字を描いた看板が白々と輝くコンビニになっていた。
「行こうか」
霧島悠太が奥へと続く道へ入った。
アムリタは2ヶ月ほど前に潰れたライブハウスらしい。
立地が悪かったのか、店長が夜逃げしたからとか
とにかく世間的には首をかしげるような事象が原因で廃屋となったらしい。
「まぁ、ミジンコが使うような、ライブハウス入門みたいなセットをするところだったからね。僕は使ったことはない」
霧島悠太は言って笑った。
「ここは七海も来たことないと思うよ」
ライブハウスの入り口は、まるで監獄のような黒いドアで閉め切られていた。
建物全体は、四角い箱のようで、黒いドアだけがひどく浮いて見えた。
堀口俊彦は率先して入り口のドアノブに手をかけた。
黒いドアは、またしても赤いスプレーで汚れていたが、アートとは言えない汚れだった。
「開かないな」
当たり前だけど、と言いながら堀口俊彦は言ってドアを睨んだ。
「裏とか回ってみるよ」
敦子は、堀口俊彦の間をすり抜けて走っていく。
-……アムリタ
ムーントピックに似た廃墟ライブハウスの名は、解読不可能なくらいに赤いスプレーで汚されていた。
北宮のビル街のはずれ、高層ビル郡は影を潜める。
商店街へと接続するゲームセンターの奥にそのライブハウスはあった。
ゲームセンターはもうシャッターを下ろし、シャッターは前衛的なスプレーアートで彩色豊かに飾り付けられていた。
敦子はきょろきょろと周囲を見回しながら、堀口俊彦に声をかけた。
「思い切り不良のたまり場っぽいけど」
「前はこの2つ向い、パチンコ店だったから余計そんな空気醸し出てたぞ」
今は7、と大きく数字を描いた看板が白々と輝くコンビニになっていた。
「行こうか」
霧島悠太が奥へと続く道へ入った。
アムリタは2ヶ月ほど前に潰れたライブハウスらしい。
立地が悪かったのか、店長が夜逃げしたからとか
とにかく世間的には首をかしげるような事象が原因で廃屋となったらしい。
「まぁ、ミジンコが使うような、ライブハウス入門みたいなセットをするところだったからね。僕は使ったことはない」
霧島悠太は言って笑った。
「ここは七海も来たことないと思うよ」
ライブハウスの入り口は、まるで監獄のような黒いドアで閉め切られていた。
建物全体は、四角い箱のようで、黒いドアだけがひどく浮いて見えた。
堀口俊彦は率先して入り口のドアノブに手をかけた。
黒いドアは、またしても赤いスプレーで汚れていたが、アートとは言えない汚れだった。
「開かないな」
当たり前だけど、と言いながら堀口俊彦は言ってドアを睨んだ。
「裏とか回ってみるよ」
敦子は、堀口俊彦の間をすり抜けて走っていく。