「黒沢君のケータイは?こういうの表示されてない?」

「あ?あぁ……」

俺は自分のケータイを取り出すと、画面を見た。

特に変化はない。

「この待ち受けが出てくるのって、偶然なのかな、それとも……なにか……経路っていうかあるのかな?」

死の待ち受けが表示されていた山岸絵里子から移ってきたと思っているんだろうか。

「さすがに分からないけど、可能性はあるよな。長谷川は? 長谷川のケータイには出てないか聞いたか?」

「沙織……今日学校お休みだったよ」

担任がそういえば出席を取っていたときそんなこと言ってたような気がする。

クラスのことは、相変わらず無関心だった。

「沙織は……どうなんだろう、大丈夫なのかな」

山岡は不安そうに呟いて、真っ黒の待ち受け画面を覗いた。

「長谷川の家、知ってるか?」

山岡は、俺の言葉に顔を上げた。

「行こう」

「え?黒沢君?」

「さすがにヤバイだろ、杞憂ならそれでいい。噂の真相を確かめて答えを出さないと、このままじゃ取り返しがつかなくなるかもしれない」

「う、うん」

山岡はカバンを肩にかけた俺を先導するように図書室のドアを開けた。

「敦子!」

先に帰ることを伝えようと敦子のクラスへ俺が顔を出すと

居残り課題をやっていた敦子が顔をあげた。

「潤! 助けてぇ、もう現国いやぁ……」

「そのセリフはこっちが使いたい」

敦子に簡単に事情を話すと、飛び上がるほど驚いてみせた。

「え?飯島さん……まさか飯島さんも?」

「お、おい敦子?」

「違うの……」

敦子は周りを見て、俺と山岡の手を引いた。