「……大丈夫か?」

「ごめんね。どうしていいか分かんなくて、不安で」

やっと山岡は笑った。

緊張で顔が張りつめていたが、落ち着きは取り戻したようだった。

「待ち受け画面、見せてもらっていいか?」

山岡は少し不安そうにして、俺にケータイを手渡した。

折り畳みケータイが手に乗る。

ゆっくりと開くと、真っ黒の液晶が目に飛び込んできた。

放射線状に伸びる線のようなものが写っている。

画面の左側には、黒い影のようなものが差し込んでいた。

上の方は青白く明るい。

殆ど光源のない中でフローリングを撮影した写真だった。

その写真には、赤い血のような色で数字が書かれている。

"15"

「これ、絵里子の待ち受けと、似てる、よね……」

同じことを考えたのだろう、山岡は言って画面を覗き込んだ。

「これ、待ち受け変更できないのか?」

山岡は頷いた。

「元の待ち受けに戻そうと思って、一番初めにやってみたけど、待ち受けに設定する、って選択ができなくなってるの」

山岡はメニューボタンを押して、ケータイで撮ったカメラ画像のフォルダに移動する。

山岡と、山岸絵里子、長谷川沙織の3人が写った写メが画面に表示されるが

設定から「待ち受けとして使用する」という項目が選択ができなくなっていた。

「……この写真以外も、全部か?」

「うん」

言葉を失った。

こんなこと、本当にありえるのか?