すぐさまその赤い線の先をたどる。

筋は山岡の後頭部から流れ落ちていた。


体当たりをしたんじゃない。









叩きつけられた。


「山岡!」

ずるり、ずるりと山岡の体がドアに寄りかかったまま滑り落ちていく。

力なく、山岡の体は倒れ込む。

カバンが落ちて、定期券が床に転がった。

自動ドアに流れていた血の筋を、制服で擦るようにして倒れ込んだ山岡。



その前方


外の暗闇の中に浮いた月に照らされるかのように


肩胛骨あたりまで長く伸びた黒髪

血に汚れ、黒ずんだ立幸館高校の制服

白い肌

ガラスの瞳


まるでこの世のものとは思えない美しい幽鬼がそこに立っていた。


「蔵持……七……海……」


蔵持七海は興味のなさそうな顔で

じっと俺……

いや、山岡を見つめていた。