√セッテン

「飯島1人じゃ危ないから、俺も霧島さんと合流する。お前、寝てろよ? 」

堀口俊彦は言って身を翻した。

「敦子のこと、頼みます。もしかしたらまた……」

殴るかも。

「そんなことしたら、さすがに霧島さんも死ぬかもな」

堀口俊彦は言って部屋から出た。

丁寧に、ドアを少しだけ開けて。


病室が急にシン、とする。

山岡はじっと俺を見ていた。

「山岡も、帰った方がいい。もう遅い……」

あ、でも送れないな……

堀口俊彦に、頼めば良かった

少し後悔して自分の手元を見た。

敦子が買ってきたオレンジジュースがやっと視界に入ってきて、プルを引いてオレンジジュースを飲んだ。

美味しかったが、胃に染みるようだった。

「もう、少しだけ……いていい?」

「少しだけだからな」

「……帰れって……言われるかと思った」

病室が、またシンとした。

しょうがないので、一言普通の会話を切り出した。

「山岡、お前、夏期講習いつから? もうヨギとか始まってるみたいだよな」