「池谷美保のメールをよく読むとね、甘川充からは何度もちょっかいを出されて困る、といったニュアンスの文章が多い。要するに甘川の一方的なアプローチだったわけだよ」
霧島悠太は、手元のモレスキン手帳を開いて続けた。
「池谷美保は、甘川充と中学時代はずっと付き合ってた。交際が終わった理由までは知らないけどね、甘川充はまだ気持ちはあった、ということかな」
「まぁ、あいつのことだから、気の知れた相手だから、手が出しやすかったんじゃないですか?」
堀口俊彦は、相変わらず甘川充に厳しい。
なるほど、それで
池谷美保の相手は残りの選択肢の吉沢アヤトだった、と。
「そう、それを推測したのが、昨日の晩だったんだ」
「だけど、1つ謎が残っててね。それが、その裏切りが誰だったんだろう、ってこと」
「その、裏切りが蔵持のことだとしたら?」
「裏切り……を、蔵持七海が?」
「池谷美保が、たとえ話までつかってボカして表現した相手、それだけ池谷にとっても近い存在」
霧島悠太は言って、指を立てた。
「1人は、甘川充、1人は七海、もしくは他、僕らが知り得ない第三者」
「あのメールでは、裏切りものを大切にしていたことを悔やむ内容が重点に置かれてた。
池谷は蔵持を大切にしてた、大切に思っていた友人が、自分と同じ人を好きになったとしたら? 我の強い池谷が、カチンとくるのは簡単に推測できるぞ」
堀口俊彦が眉間に寄せた皺をさらに深くする。
「甘川充かもしれない、とも思ってはいたんだ。でも、可愛がっていた、っていうのもおかしいし、甘川充が裏切ったって、何を?って余計に混乱する」
そこで、今日、と堀口俊彦が面を上げた。
「蔵持が吉沢を好きな素振りがあったとすれば、憶測の甘川説より、より信憑性がある。今日、寺田の話を聞いて俺は納得がいったよ」
「……だとすると、蔵持七海にとって親友だった池谷美保は、恋敵になったってことですよね?」
「この推理だと、そうなるね」
「人見知りの蔵持七海を支えてくれていたのは池谷美保。その親友と恋愛問題で激突か」
「女は、普段仲良しでも、裏でどうバトるか分らない生き物だからな」
それは俺も身に染みてる。
霧島悠太は、手元のモレスキン手帳を開いて続けた。
「池谷美保は、甘川充と中学時代はずっと付き合ってた。交際が終わった理由までは知らないけどね、甘川充はまだ気持ちはあった、ということかな」
「まぁ、あいつのことだから、気の知れた相手だから、手が出しやすかったんじゃないですか?」
堀口俊彦は、相変わらず甘川充に厳しい。
なるほど、それで
池谷美保の相手は残りの選択肢の吉沢アヤトだった、と。
「そう、それを推測したのが、昨日の晩だったんだ」
「だけど、1つ謎が残っててね。それが、その裏切りが誰だったんだろう、ってこと」
「その、裏切りが蔵持のことだとしたら?」
「裏切り……を、蔵持七海が?」
「池谷美保が、たとえ話までつかってボカして表現した相手、それだけ池谷にとっても近い存在」
霧島悠太は言って、指を立てた。
「1人は、甘川充、1人は七海、もしくは他、僕らが知り得ない第三者」
「あのメールでは、裏切りものを大切にしていたことを悔やむ内容が重点に置かれてた。
池谷は蔵持を大切にしてた、大切に思っていた友人が、自分と同じ人を好きになったとしたら? 我の強い池谷が、カチンとくるのは簡単に推測できるぞ」
堀口俊彦が眉間に寄せた皺をさらに深くする。
「甘川充かもしれない、とも思ってはいたんだ。でも、可愛がっていた、っていうのもおかしいし、甘川充が裏切ったって、何を?って余計に混乱する」
そこで、今日、と堀口俊彦が面を上げた。
「蔵持が吉沢を好きな素振りがあったとすれば、憶測の甘川説より、より信憑性がある。今日、寺田の話を聞いて俺は納得がいったよ」
「……だとすると、蔵持七海にとって親友だった池谷美保は、恋敵になったってことですよね?」
「この推理だと、そうなるね」
「人見知りの蔵持七海を支えてくれていたのは池谷美保。その親友と恋愛問題で激突か」
「女は、普段仲良しでも、裏でどうバトるか分らない生き物だからな」
それは俺も身に染みてる。


