オーラルの試験は、調子の悪いスピーカーから漏れる発音を聞き取って終わった。

まぁ、いつも通りの点数は取れるだろう。

試験というには、あまりにお粗末な最終日だった。

まぁ、お粗末なものを最後に持ってきてくれたという方が、正しいのかもしれない。

試験前、敦子に保健室へ行くか聞いたが、もう大丈夫だと言って笑っていた。

だが、足の調子はまだよくないらしい。

北宮地区への探索は来るな、と釘を打っておいた。

「黒沢、俺ちょーど今日、立幸館のクミちゃんたちと遊ぶんだけど」

試験が終わって上機嫌の河田が、カバン片手に声をかけてきた。

「蔵持七海のこと、ちゃんと調べてるからな。今日の夜、電話する」

言い終わると、河田は、そうそう、キョウコちゃんが事故で……

と敦子からすでに聞いていた話を続けた。


昼下がり、梅雨も早々に明けた夏空の下

立幸館の校門前で待ち合わせをしていたから、そろそろ出なくてはいけない。

山岡は、と教室を探したが、姿がなかった。

試験中はいたから、まだ校内にはいるだろうが……

時計を見て、時間もないことだし、出ることにした。

敦子は試験結果が今日1つ帰ってきていて、凹んでいた。

試験があろうが、なかろうが

常に自分のペースを守っていれば、一喜一憂することもないと思うんだが

敦子みたいなタイプには、それを言ってもあまり通用しないみたいだ。