ポン、と敦子の頭に手を乗せて撫でつけてやる。

敦子は子供扱いだなぁという顔をしたが、少しだけ視線を下げて続けた。

「キョウコの友達もね、死の待ち受け、表示されてるんだって、周りの友達も……増えてるって、実感した……」

「……周期がランダムになって、把握しきれなくなってきてるな」

「私が止めなきゃ、死の待ち受け」

「あぁ。放っておいたら、事態はこれ以上に最悪な状態になる。止めるよ」

無言になった敦子が、ケータイをローテーブルに置く。

視線を一度天井に向けて、それから俺に戻す。

何だ? と首をかしげると、敦子は言いにくそうに指をいじった。

「あのさっ」

「何?」

「えっと……今日は家に、帰るよねっ」

「芙美叔母さんが帰ってくるまでの子守りだからな」

「そっか、今日……泊まれない? 気になるんだもん、今日ずっと千恵と一緒だったんでしょ? なんて言うか……ずるいっ!」

敦子はバタバタと手を上下させると、頬を膨らませた。

「最近千恵、香水替えたり、リップに色つけたり可愛いんだもんっ! 私でも可愛いなぁ、とか思っちゃうもん!あー! 千恵もズルしたんなら私もズルする!」

敦子は急に吹っ切れたように俺にずい、と近づいた。

俺が少し引くと、それを許さない、という視線を投げてきた。

「潤、今日は帰っちゃダメっ!」

「そういうのは普通、男が言うんじゃないの?」

思わずツッコミを入れると、敦子がむっとした顔のまま続けた。

「そういう問題と違うの」

お前、優先すべきことは何なのか、分ったって言ってなかったか?