「そのどちらの場合でも、√の女は発生して、死への導線を引いている」


錯乱・幻聴・発狂

それはどちらにも当てはまる符号。


山岸の式と、長谷川の式は、同じじゃない


死という答えは同じでも…………


「お待たせいたしました」

運ばれてきた料理がテーブルに並ぶ。

霧島悠太は、ふ、と緊張した空気を払うようにして、ご飯食べようか、と笑った。

「そうですね、お腹空きました……歩き回ったし」

山岡も言ってみんなにフォークとナイフを回した。

堀口俊彦は、暫くうつむいていたが、回ってきたフォークとナイフを受け取ると、とりあえず前を向いて食事に手を付けた。

元気に食事

という雰囲気ではないのは、ここにいる誰も皆同じだ。

だが、食べなくては

「堀口君、ケータイを黒沢君にも見せていいかな」

霧島悠太は言って俺の膝にケータイを置いた。

「君の意見も聞きたい」

霧島悠太は言って、食事に切り替えた。切り替えの早さは素早い人だと、本当に思う。

渋谷景のケータイのメニューボタンを押した。

最後の着信と発信は、家からとなっているが

その1時間前には、堀口俊彦から着信があり、30分前には渋谷景が堀口俊彦にかけていた。

そして死の待ち受けは、堀口俊彦へと移った。

堀口さんの待ち受けは、池谷美保の流れで発生した死の待ち受け。

事故に気をつけなければならない。

「メール見て」

霧島悠太が端的に言う。指示に従ってメールボタンを押した。

受信者の名前に、池谷美保が見つかる。

メールを開くと、それは長文だった。