「潤?」

突然声をあげた俺に、山岡が首をかしげた。

「√の女は、密室に出てくるんだ」

「どういうことだ?」

堀口俊彦が首をかしげる。

「森先輩の時、先輩は部屋に入ってから、突然誰かと話し始めた。
先輩はやっぱり、√の女を見てたんだ。同じ条件下で敦子や山岡の所にも出たんだ、√の女、蔵持七海が」

「信じがたいけど、間違いなく目撃してるんだよな」

「むしろ、√の女はそういった状況に、導こうとしてる。そしてそこで、カウント0の始末をつけてる」

「黒沢君が言うなら間違いないだろうね、それが本当に七海なのかは、僕は信じたくはないけど」

ケータイを見つめていた目をこちらへ向けて、霧島悠太は俺を見た。

「怖いからって締め切ったらだめだ。そしたらそこに、√の女が出てくる」

「でも、景は……」

堀口俊彦の呟きの意味は分かった。

渋谷景は、首を吊って死んだわけじゃない。

「死に至るに今、2パターンある。1つは錯乱して自殺…事故死に至る場合、もう1つは√の女が出て殺され自殺…首を吊るパターン……」

俺はまっすぐカツ、とテーブルを指先で叩くと顔を上げた。

「事故死したのは?」

俺は確認をするように山岡を見た。

「え……えっと、渋谷景さんと、絵里子……」

「それは、池谷美保の死の待ち受けから生まれた流れだ」

「あ!」

山岡は気が付いたようだった。

「池谷美保から発生した待ち受けは、事故死に繋がる。吉沢アヤトと甘川充から発生した待ち受けは、首を吊るパターンになるんじゃないか?」

霧島悠太の色素の薄い瞳が、じっと俺を見ている。