√セッテン

「なんで急にそんなことになったんだよ」

「急じゃないよ、ここ、ずっと……私」

「そうじゃない。なんで泣くんだよ」

俺の言葉に、山岡は下唇をかんだ。

「だって、潤には、敦子がいるもん! 私は敦子みたいにずっと潤のこと好きだったワケじゃない。敦子には勝てない!」

山岡は泣きながら声を上げて、俺の手を振り切って走って行った。


教室には

昼に向かって熱くなる日差しと

それを避けるようなクリーム色のカーテンと

ぬるくなったら絶対まずいいちごみるく

そして呆然とした俺だけが残された。


「山岡!おい、待てって……!」

急いでカバンを掴んで教室から出る。

昇降口まで全力疾走したが、山岡はいなかった。


肩で息をする。

何が、どうなってるっていうんだ。

下駄箱を確認すると、山岡の上履きが入っていた。

……ため息をして、ロッカーを背に座り込む。

「………何で」

それしか言えなかった。

ケータイを取り出して、アドレス帳で山岡と敦子を捜した。

♪♪♪...♪..♪

山岡へかけた電話は、ひたすら呼び出し音が鳴り続けるだけで、いっこうに繋がらない。

「くそっ」

..♪..♪.....♪


呼び出しを切り替え、敦子へかける。


...♪.♪.♪

「出ろ、出ろ……っ!」


敦子も電話を出ない。

どうなってるんだ。

こういう時に出ないで、なにがケータイなんだよ。