√セッテン

「さ、煮るなり焼くなりしていいよ、山岡ちゃん」

「おい、何だよ、お前」

俺を突き出した河田に抗議する。

クラスにはまだちらほらと人が残っていたが、河田がサクサクと追い出した。

「………朝、どうした?」

状況が掴めなかったが、朝のことを聞いてみた。

河田は後ろから出て行く。

人をひっぱり出しておいて、何なんだ、あいつ。

「…………」

山岡は、瞳に涙を溜める。

音もなく、目尻から涙の雫が落ちた。

山岡の背中を、夏の日差しが刺す。

日直が閉めていったカーテンの合間から差込むその光に涙がチラチラと照らされた。


「あの、っね………」


俺は無言で立っている。

山岡は涙を飲み込もうと必死だった。


「ほんとに、ごめ、ごめん……」

「何が? 良く分らない」


完全に泣き崩れてしまった山岡に、俺は理解不能のまま立ちつくした。

ポケットからハンカチを出して、山岡に渡そうとするが拒絶される。


「ごめ……っ、じゅっ、うっ」

「泣いてたら分らないだろ、何かあったのか?」

「ない、なんにもっ」

「ここにいろよ」


俺はカバンを山岡の机に置いて、教室を出た。

案の定、河田が教室の入り口にいて、出てきた俺を睨んだ。

自販機で飲み物を買って、教室に戻る。

河田が口パクで何か言っていたが、無視をした。