√セッテン

クラスに帰る前に、オレンジジュースを買おうと自動販売機を見上げた。


「……」

いつ品替えをしたのか、オレンジジュースは牛乳に化けていた。

しょうがない。

知らないうちに物事が進行することなんて、よくあることだ。

帰りのコンビニでペットボトルのジュースを買おう。


つまらなそうな顔をしてクラスに帰り、席に着くと、河田が後ろから襟をひっぱった。

「黒沢」

「何だ?」

「調子悪い顔してるな、さすがに罪悪感か?」

「は?」

「山岡ちゃんのことだよっ」

河田がそこまで言うと、担任が入ってきてHRが始まった。

視線を山岡に投げる。

窓際の席で、山岡はまっすぐ担任を見ている。

表情はいつも通りだが、少し緊張して見えた。


ふと、山岡と視線が合う。

山岡は視線を微妙に泳がせて、ぱっと外へ向けてしまった。


「…………?」

今日から夏期講習という奴らも多いのだろう。

HRが終わると、クラスメイトは一斉に廊下へ飛び散った。

明日までとりあえずは試験期間だというのに

このクラスのほとんどは、もう明日の試験など頭にはない。

まぁ、体育筆記、選択とくればしょうがないかもしれない。

明日は先生たちの採点用の日と言ってもいい。


今日は西口のライブハウスを潰しに行かねば。

受験脳のクラスメイトを追いかけるようにして席を立つと、河田が腕をひっぱって、山岡へ俺をつき出した。