「私の待ち受けのカウントはあと5日……」

「蔵持七海を探せば、死の待ち受けのことも分るはずだ。それまでに必ず助ける」

山岡はうん、と大きく頷く。

敦子は俺と山岡を真剣な顔をして見つめていた。

「敦子、お前も気をつけろよ。1人になったりするな。火曜日、保健室受験だからな、適当に体調崩したっていうんだぞ」

「千恵……は?」

「山岡はクラスに河田もいるから見てくれるはずだ」

「……そう」

「何度か、気味の悪いモノを見ただろ。敦子、お前はまだ見てないか?」

「気味の悪いモノ?」

「女。√の女。蔵持七海だと俺は思ってる」

霧島悠太の前で、蔵持七海の亡霊まがいのものを見たなんて言ったら、彼は怒るか気持ちを落とすかどちらかだったから、俺は言わなかったが。

「私は見てない……よ」

やっぱりあの時、お前はぐっすり寝てたわけか。

「アレが何だかはハッキリと俺もよく分らない。でも死の待ち受けに絡んだモノなのは間違いない、まだ推測の域はでないけど、あれは多分、森先輩も見てる」

「森先輩も見てる?」

「森先輩が、死ぬ前に誰かと言い争いをしてただろ? それはアレじゃないかと思ってる」

「そんな、幽霊みたいな奴に先輩があんなにされちゃったってことっ?」

「……信じられない」

敦子は視線を泳がせて、床の1点に定めた。

「だから、1人になるのはNG、だれかにスグ助けを求められるとこにいた方が良い」

「うん、わかった」

2人は神妙に頷くと、お互い視線を交差させる。

俺はダイニングの水槽で、悠々と泳ぐ熱帯魚たちに視線を投げてから、ゆっくりと息を吐いた。


あと、5日。