「じゃ、ゲーセン寄ってから行きますか、つか、俺たちこれでも試験期間中ーヤバイね!この捨てっぷり!」

河田が笑いながらゲームセンターへと歩き出す。

山岡は嬉しそうに河田の後へついて行く。

「ねぇ、潤」

「ん?」

「潤とプリクラ撮るんだったら、スカートにすればよかったよ」

「なんだそれ。スカートだと何かあるのか?」

「……ね! 2ショ撮ろうね、いいよね?」

「いいけど、変なところにバラ巻くなよ。河田みたいに」

「河田君?なんかしたの?」

いや、あいつ電番をな、と言おうとして止めた。

「変な潤。まぁ、いいや」

敦子はホームで見せた少し冷えた表情からは一転して、いつもの笑顔を見せた。

たんざく状のプリクラが2枚。

折ると敦子が怒るので、定期券のサブポケットに差込むと、代わりにウォレットチェーンから家の鍵を取り出した。

暗証番号を入れた後、鍵を指す。

自動ドアを潜って、エレベータを呼んだ。

マンション最上階、南側が俺の家だった。

「ぷっ!この河田君最高、いつも思うけど、3枚目だよね」

「うん、悪いけどちょっと笑っちゃう」

女子2人はまだプリクラにお熱のようで、プリクラに写った河田を笑い続けている。

「俺的には記念な感じを目指してかっこつけたつもりなんスけど……」

「うっそつけ、目線ヤバよこれ!アハハ」

敦子が笑うと、山岡も笑った。

「敦っちゃん上機嫌だな。2ショのおかげ?」

河田がそっと俺に耳打ちする。

いや、敦子のテンションはいつもこんなもんだぞ

「河田君、私との2ショ、他にばらまいたり、彼女なんだとかほざいたら右ストレートだからね」

「それはやりたいけど無理っしょ、『一生友達でいましょう』とか書かれてるし」