「や、敦っちゃんは今くらいが可愛いって!俺巻き髪とか超好きよ?」

「河田君の意見はどうでもいい、ていうか、潤、河田君最低だよ」

急に話題を振られて現実へ帰ってくる。

「プリ帳とかみたらありえないの、一体何人とデキてるわけ?」

「誤解だって。それに敦っちゃん、言っとくけど男は経験豊富な方がいいのよ? リードしてあげれるし」

「ウザッ! 私、前そういうチャラい奴と付き合ったことあるけど、余計な経験が豊富で遊ばれてる気分だったよ」


「……潤って、プリクラとか撮るの?」

山岡がポツリと言うと、河田と敦子の言い合いが止った。

「あ、たしかにあんまり見ない」

「前私と一緒に撮ったのがあるよ、でもあれ1回だけだったなぁ。同じ高校入学できたら撮ってやるって中学の時約束してたのだー」

敦子はそんなことを言いながらもケータイの充電池のフタを開けた。

フタの裏には、俺と敦子のプリクラが貼ってあった。

山岡がそれを見て、俺とフタの裏を見比べた。

丁度よく駅に着き、改札を潜って、駅から家へと歩き始める。

いいタイミングで話題が変わったと思ったら、敦子がまた元に戻す。

「可愛いよね、この頃の潤!今はすっごい可愛くないけど」

敦子は自慢げにフタを山岡に見せている。

いい加減そのネタはやめてくれ。

「ねぇ、4人で撮ろうよ」

そう言ったの敦子ではなく山岡。

「私も新しい潤との2ショ欲しいっ!で、機種変更するっ!」

「お前がいつまでもそれ使ってたの、機種変する金がなかったからじゃなかったのか」

敦子の言葉に目を丸くすると、向こうは当たり前と言うように頷いた。

「だってこれ、最後の1枚なんだもん。他はプリ帳貼ったりとか、友達にあげちゃったし」

「……しょうがない奴」

思わず笑うと、敦子も照れ笑いした。