はぁ、とため息を零す。

たまに河田の思考が分らなくなる。

あれだけノーテンキでチャラついてるのに、全国模試ではそれなりの成績を取れるっていうんだから不思議だ。

あいつの脳の構造がどうなってるのか

計算式で出せるもんなら出してみたい。

「潤」

声を掛けられて視線を投げると、山岡がいた。

前方では敦子と河田が戯れている。

「逃げてきたのか。懸命だな」

「いや、そうじゃなくて。ほら、河田君って敦子ちゃ……敦子のこと、好きでしょ? 邪魔しちゃ悪いし」

「さぁな、あいつの好きはここらへんの女子生徒全員に範囲が及ぶからな」

俺の言葉に、山岡は笑った。

「ごめんね、みんなで一緒にって、敦子が気を遣ってくれたの分ってたんだけど」

「クレープ?」

「うん、そう」

「別にいつでも食べれるだろ」

歩いていて、ふと自分が視線を後方に下げているのに気が付いた。

「山岡、お前、実は歩くの遅くない?」

そういえば敦子の家から学校に行くときも

山岡は汗かきながら俺の後追っていた気がした。

暑い? とか聞いたけど、俺の歩調に合わせてたのか?

「え?ご、ごめん……ノロいんだよ~」

山岡が驚いて顔の前で手を振った。

「気づくの遅れた、悪い」

「いいよいいよ、そんなの。私がノロノロしてるだけで」

山岡が急にシャキっとして歩き始めた。

「合わせるから」

背中を軽く叩くと、山岡は申し訳なさそうに一度頷いた。

「潤は、クレープ好き?」

「モノによる、俺基本的に甘いのは平気」