「潤!」

コンピュータ室のドアが開いて、山岡が顔を出したかと思うと、こちらに気づいて声を上げた。

「おう」

「河田君が思い出したって!!!」

「あの女?!」

「そう!」

「敦子、行くぞ」

振り返って敦子の手を掴む。

走って教室に滑り込んだ時、俺は山岡の言葉で一気に頭が覚醒して、そちらに頭が切り替わった。

敦子は何も言わなかったが、何かふてくされた時の効果音を口にしていた気がした。

「蔵持七海だよ」

席につく前に河田が言いながらこちらへ来た。

「立幸館3年の、蔵持っ」

「それって、行方不明の……?」

「そうそう、思いだしたよー俺去年の文化祭で見たって言っただろ?」

「なんで蔵持さんが死の待ち受けに出てるの? プライバシー侵害だよ」

敦子の言葉に河田と山岡は首を傾げた。

「美人は恨まれるってゆーか……それは分らん」

「そーだ、ヒント掴んだよっ、多分当たりだと思う」

敦子が俺の手から雑誌を取って広げた。

「あっ、記者霧島って書いてあるね」

記事を全員で目を通していると、昇降口閉鎖の放送が入る。

今気が付いたが下校時間過ぎてる。

「一応13時までだぜ、今日」

河田の言葉に全員が時計を見た。

「もう、帰ろうか」

山岡の言葉に全員が頷いた。