「……は?」 「俺の名前。あんた、じゃなくて一哉だから」 「……あんたって、変なとこにこだわるんだね」 「……。ま、いーや」 キキッとブレーキをかけて車が止まった。 「着いた」 車を降りて、ホテルの中へと入っていく。 ……大丈夫だよね。 昨日のおっさんの時みたいに、うまく逃げ出したら。 きっとうまくいく。 自分に言い聞かせて前を歩く男について行く。