「お父さん」




迅が父の振り上げた腕を掴み、口を開いた。






「未来さんの気持ちも少しは考えてくださいよ。こいつが、どんな思いでここまでやってきたか……!」






「………もういい。おい、帰るぞ」





そう言うと、病室を出て行った。







「お父さん……!
ねぇ、未来……。いつでも帰ってきていいのよ?」






「……今さらそんなこと言わないで」






それだけ伝えると、母親は押し黙って、病室から出て行った。