「ルマ、ピーマンもちゃんと食べてね。ルア、こぼしてるよ」


自分の弁当から食べ物が減らず、僕は慌ただしくウエットティッシュやらなんやらカバンから出していた。


「ぱぱっ!これあげる~!」


ルアたちに入れていた、うさぎさんリンゴのデザートをお弁当ピックで刺し、僕の口元に寄せていた。


「あ、ありがとう」


自分用には用意してなかったし、お腹も空いていたため遠慮なく貰った。

水分が抜けていて、みずみずしさは感じなかったが今は有難かった。


「ルマ、ピーマンさん悲しんでるよ」

「ピーマンさん、苦いよぉ…」


ピーマンを避けて、他の野菜を口元に運ぶルマに僕は賭けを持ちかけた。


「ルマ~?食べなかったら、お家帰ってアイス食べれないぞ~?」


アイスで釣っている。なんて能なしな大人なんだ…。


「うぅ…」


悩んでる悩んでる。

食べないとアイス食べれないし、アイスを食べたくても苦手なピーマンを食べないといけない。


ルマが数分悩んだあと、恐る恐る箸がピーマンに向かっていった。


ついに、覚悟を決めたか!


ルマがぎゅっと目を瞑ってピーマンを口の中へ運んだ。


みるみるうちに顔が歪み、噛むたびに涙目になる瞳で一気に飲み込んだ。


「たべ、たよ…」

「えらいねー!」


僕はその時を待っていた…!