「ルマ行っていいよ」

「ん!」

「あんまり遠くに行かないようにね」


僕に返事を返さずに走ってルアのとこに行った。


ルマのご機嫌取りは難しい。

根に持つことで、その後しばらくは口を利かなくなる。


子育てって大変なんだなぁ~。

生まれてくる子の性格に振り回されるばかりだよ。


「ぱぱ!」

「おぉ、ルアどうした?」

「お腹空いた!」

「じゃあ、ご飯にしようか」

「うん~!」


ルアのお手々を水道で洗った後、ルマを呼んだ。


しかし、いくら待ってもルマが近くに来ず、僕の頭上にはクエスチョンマークが広がった。


「ルマ?」

「………」


ルマが俯いたまま、ちょびちょびと足を進め、手だけを僕に差し出した。


相当根に持ってるんだな…。

それを見せる素振りはあるが、自分からは言わないと…。

ルアはすぐ怒ったりするのに。
ルマはきっと溜め込むタイプ。


だからこそ、気付いてあげないといけない。


「はい、タオル」


こくんと頷いて、手を拭き終わったら一足先にルアの方へ行ってしまった。


「ちょっと待って~!」


小さな子供に、それも自分の子供に置いてけぼりを食らう父。


ルアとルマが成長したとき、僕はこの子たちと一緒に隣で歩いていけるだろうか。


今はルアとルマが僕を置いて、二人だけの世界に行っているような気がする。

少し、ほんの少しだけ僕は泣きたい気持ちになった。


だけど、ルアとルマの未来が楽しみだ。

自立するのも早そうだな~。それはそれで寂しいけど…。