巣に還る蟲。

「幻ちゃん」


空気が変わった。


「ぼくは」


そんな気がした。


「古民家に恋をする人間の話など聞いた事が無い」


わたしは自身の拳を、そっと握る。


「人間に恋をする古民家の話など聞いた事が無い」


自身の拳から熱が消える気がした。