巣に還る蟲。

「それは酷よ」


わたしは苦く笑う。


「逝かないでくれ」


朧君の声が震えている。


「病院に行けって事かしら」


そんな声を聞くのは、


「ああ、その通りだ」


この時が初めてだった。