巣に還る蟲。

「朧君、あのね」


彼に指を這わせる。


「何?幻ちゃん」


冷えている感触が伝わって来る。


「ここに、わたしを縛り付けてくれない?」


伝えてしまえば、朧君は困るだけだと知っている。


「悪いが、幻ちゃんの申し出でも、それは出来ない」


伝えたかったけれど、朧君を困らせたかった訳じゃない。