「幻ちゃん、何を言っているんだ」


声色から、朧君の困惑を知る。


「やっぱり何でも無いわ。忘れて」


その事実が、ただ哀しかった。


「未だ疲れが残っているのだろう」

「その通りかもしれないわね」

「もう少し休んで行くかい」

「そうさせて頂こうかしら」


眠らないで。

……眠れない。