巣に還る蟲。

「だったら、しょうがない」


朧君は諦める様に嘆息する。


「そうね。だけど気にしないで」


自嘲する様に笑みが零れる。


「暫く、雨宿りしていると良い」

「え?」


傘も差さずに、雨に打たれ続ければ、体調を崩すだろう。

そして、朧君の許に向かう事は難しくなる。


「寒くないか」


朧君にとっては、そうなった方が都合が良い筈なのに。