陽が傾き始める。


「もうすぐ、外が暗くなる頃ね」


わたしは帰宅の用意を始めなければいけない。


「気を付けて帰るんだよ」


朧君は、わたしを引き止めない。

朧君は、わたしを帰したいから。


「分かっているわ。ありがとう」


その事が、とても哀しい。

それだけの事が、痛い。