豪華な宝飾品をつけているわけではないのに、ただの着物と袴だけでも天女が舞い降りてきたかのように見える。この美しさに魅了される男性は多い。

「お姉様、ご機嫌よう。舞の練習が楽しみで早く来てしまいましたわ」

フフッ、と笑うその仕草さえ可愛らしい。舞を教える先生も、どこか癒されるような目でミヤコを見ている。

「それでは、お二人が揃ったので練習を始めます。まずは前回したところから」

先生は扇を手に持ち、ゆっくりと動き始める。その動作は繊細で、とても美しい。儚くも美しく散っていく桜をイメージして作られた舞なのだと前回に教えてもらった。

先生の舞が終わると、ミヤコが真っ先に拍手をする。そして満面の笑みで「先生、とても素晴らしいです!」と褒め始めた。ミヤコに褒められ、先生もどこか嬉しそうにしている。この間、アヤメは空気のような存在だ。

ミヤコは人と仲良くなるのが得意だ。相手を褒め、相手のほしい言葉をかけることができる。だから、ミヤコにみんな好意を持つのだ。