文化祭が終わると、
私は玄関でお姉ちゃんを待った。

しばらくして、
マサトさんとお姉ちゃんとカズキさんが3人で来た。

「俺とカズキも…
途中まで着いてく♪」

マサトさんはそう言い微笑むと
お姉ちゃんのお腹を優しくなでた

「俺らの子供がいるんだよなぁ…
女だったらアンズに似て美人なんだろうな♪」

「男の子だったら
マサトに似てイケ面だよ♪」



「いいなっ子供って」

「はい…♪」

2人のやり取りを聞いて
私とカズキさんも話した。

それから4人で家まで歩いた。

お姉ちゃんの事を考えて
ゆっくりと。

お姉ちゃんとマサトさんは
手を繋いで微笑み合っていた。

私とカズキさんも自然と手を繋ぎ
歩いた。


家に着いて、
保険証を取って
私とお姉ちゃんは私服に着替えた。

そして家の前にある
バス停でバスを待った。

「ママも…
こんな気持ちだったのかな?」

「そうだよ
きっと」

「けど…ママは
自分の幸せは逃がしちゃったよねっ…」

「……うん」


自分の幸せは逃がした…

それは多分“離婚”の事を言ってるんだよね?…

お母さんとお父さんはできちゃった結婚だった。

お母さんはその時16歳。
お姉ちゃんより一つ上。

お父さんは18歳だったから
結婚も迷わずにした。

そしてお兄ちゃんが生まれて
次にすぐお姉ちゃんが生まれて…
ちょっとしてから私が生まれた。

その時お母さんはまだ19歳。

結婚してから3年しかたっていなかったが
もう家庭内は複雑化していた。

子育てを1人で行なうお母さんをよそに
お父さんは遊び歩き
女を作っていた。


だからお姉ちゃんにも…
それなりの不安はあると思う。